SOUTH SEAS VOICE WORKSHOP

サラマッポ・ダバオ 9

1999年3月29日(月)

 今日は最後の日。14時10分発の飛行機でインドネシアのマナドへ戻る。その前にどうしても買っておきたいものがあったので、9時に起きて部屋を出る。と、この前美味しい魚を食べたトロトロ食堂があった。同じメニューは、今日はないようだが、別の魚があるので、それとごはん。そして恒例ロイヤル・オレンジド・リンク。ここの店もチャイニーズの経営らしく、おばさんが話しかけてきた。
「あなた中国からきたの?」
「違います。日本です。ジャカルタに住んでるんですけど。」
「へえ、そうなんだ。てっきりチャイニーズだと思った。」
「いつも美味しい料理をありがとう。フィリピンは魚が美味しいですよね。」
やっぱり美味しい料理があるところは嬉しい。フィリピンの食事は私の味覚に合っている。
 さて、どうしても買っておきたいものは、ドリアンの絵が入ったTシャツであった。実際食べはしなかったが、ダバオはドリアンが有名らしい。昨日も屋台で売られていたのを見た。けれども、インドネシアより高いようなので、パス。ドリアンはマナドで食べた方がいい。
 この前ドドンと一緒に街を歩いた時に見かけた、ダイナミックなドリアンの絵が入ったTシャツが欲しかったのだ。インドネシア製のバティックなどを売る店が並ぶところへ行き、何軒かまわってお目当てのTシャツを発見。120ペソという店もあったが、100ペソにまけてもらった。
 もう少し時間があるので、街を歩く。と、POLYFUSIONスタジオの前を通りかかった。オルトニオ社長はどうしているかなと思い、寄ってみると、快く迎えてくれた。ちょうど子供達がいっぱい集まっていたが、今日は教会関係の合唱のレコーディングらしい。オルトニオ社長に別れの挨拶をしていると、時間はすでに12時。急いでフォーチュン・インに戻る。
 宿にはギンギン、そしてライアンがいた。私にプレゼントがあるという。コインケースとミンダナオ原住民の足飾りだった。ありがとう!
「昼ご飯食べない?お腹空いているよね?」と、私。
「は、はい。空いてます。」
「レッツ・ゴー!」
朝食べたトロトロ食堂へ再び行き、3人で食べる。
 ギンギンが先に帰っていて、と別のところへ走って行った。私とライアンはふたりでフォーチュン・インに戻り、荷物の準備をしてギンギンを待つ。1時過ぎになってギンギンともうひとり(名前忘れた)が戻ってきた。はい!ギンギンから、ハルバウのメンバーがよく使っている首から下げるお札入れと、笛。これで私もレスキュー隊になれる!?
 急がないと…。飛行機は2時過ぎの出発だからあと1時間。間に合うかな…。最後、フォーチュン・インのフロントで写真を撮り、さようならの握手を交わし、出発。ライアンは空港近くの友達のところへ行くというので、途中まで一緒にタクシーに乗った。ライアン、どうもありがとう。また会おうな!

 何のつてもなくやってきたダバオ。こんなにいい友達が出来るとは思いもしなかった。私も30歳を過ぎて、歳を少し感じるようになったが、まだまだいけるかも…。みんなのおかげでこの1週間、本当に楽しい日々を過ごすことができた。彼らは経済的に決して恵まれてはいない。だからこそ、お金のかかる遊びでなく、友達と語ったり、歌を歌ったり、ハイキングに出かけたり、毎日をエンジョイしている。私もこういう風に生きて行きたいものだ。次はいつここに来るだろうか…。来ようと思えば、また来ることができる。何年後か何十年後か分からないが、彼らなら、きっと同じように私を迎えてくれるに違いない。
 空港。14時半頃、少し遅れたボーラック800便でインドネシア、マナドへ向け出発。飛行機が飛び立つ前、窓の外から、こちらの方に手を振る子供達の姿が見えた。サラマッポ(ありがとう)、ダバオ!

(おわり)